GPOという可能性

オーケストラを書く人間にとってサンプラーはいまや必要不可欠なものとなっている。
初期はVitousやVirtuoso、その後Advanced Orchestraなどを挟み
現在ではVSLがオケサンプルライブラリの主流となっている。
サンプル素材の歩みは容量の増加とともにあった。
昔のライブラリがどの程度の容量だったかは知らないが
最近のライブラリでは数十GBは当たり前、多いものでは200GBを超える大容量だ。
サンプルは奏法ごとに細分化され、扱いきれないほどの素材が提供されている。
このため、現在サンプラーでオケを作る人間にとってマシンの負荷が最大のネックになっている。
昨年GDC(Game Developers Conference)でも議題になったように、
これからのオケライブラリはサンプルの容量を減らすことを考えるべきだ。
恐らく現在のライブラリの基本理念は
「100を表現するためには500の素材を提供すればよい」というものだ。
これは即ち100を創造するために常に500の力を出せるPC環境が必要になるということだ。
はっきり言って効率が非常に悪い。
私のPCはPen4の2.4GHz、メモリが1GBだが動作が重すぎてPCが固まることが多々ある。

そんな中Garritan Personal Orchestra(GPO)というライブラリが発売された。
わずか1.85GBという容量の中にあらゆるオケ素材が収録されている。
勿論1.85GBごときで全ての奏法を網羅できるはずもなく、
また、過去の自社製品を使いまわししているとしか思えないような
古臭く曇った、所謂「使えない」サンプルしか入っていない。
しかしこのGPOはインターフェースが非常に優れているのである。
1つのwavから様々な音を作り出すために面白い工夫がなされている。
勿論これは既存の他のサンプラーでも設定可能ではあるのだが
買った瞬間からデフォルトでこれが使えるのはかなりありがたい。
そしてなにより純粋に動作が軽い。大容量のwavをロードするよりは
少量のwavをKONTAKTエンジンで弄り回すほうがPCにとって楽だということなのだろう。
今日一日GPOを触り続けて感じたのが、
GPOは10の音で100を表現することを目的としている」ということだ。
サンプラーというよりはサンプラーとシンセの中間のような存在と言えるだろう。


何が言いたいのかわからなくなってきたが
とりあえず快適な環境でオーケストラを作れるようにしようという動きが
一部では始まっている、ということに感動した一日だった、ということでまとめておこう。